
最近読んだ本その3:クラブ活動(高齢化社会)との係わり岡島利夫
先に紹介した最近読んだ本のリスト以降も、それなりに「高齢化社会」に係わる新刊の図書には目を通すことにしている。その中から下記のとおり幾つか紹介する。記載の順序は前回に準じて、書名に続き、①著者(略歴を含む)、②発行社、③内容概要、④個人的に気になった記述の抜粋やコメントを記しておく。
1.図書「定年後の黄金の7法則」
①楠木新監修(1954年神戸市生まれ、京都大学法学部卒、生命保険会社、2015年定年退職)
②中央公論社、1200円
③長くなった第二の人生では、お金や健康とともに、社会とのつながりや退職後の居場所、家族との関係がより重要になってくる。人生の後半戦を輝かせるための「黄金の7法則」をわかりやすく解説している。
④最近「人生100年時代」という言葉が語られるようになっている。今でも男性の平均寿命は81歳、女性は87歳。一般的な定年である60歳からでも20年以上の持ち時間がある。ただあまり急激に寿命が延びたので、諸々の社会システムや人の生きた方、働き方がその変化に追いつていない。1万メートルのトラック競技だと思って走っていたら、途中でマラソンに変更されたみたいなもの。そのため定年後にどのように過ごしてよいのかとまどい、立ち往生している人が少なくない。誰でも一度や二度は「自分を変えてみたい」と思ったことがあるはず。そんな気持ちを見透かすように、書店には自己啓発や自己改革の本が数多く並んでいる。しかし、人の性格や本質は簡単に変えられるものではない。特に定年退職者くらいの年齢になると、行動は多少変えられても根本的な部分を変えることはほぼ不可能。ではどうすれば良いのかというと「ありのままの自分が輝ける居場所を見つける」ことと結論付けている。多くの成功例を見ると、「会社員当時に培ったものの延長線上で社会とのつながりを築いている」人たちが多いようだ。この本の題名には「・・黄金の7法則」とあるが、ここでその7法則を紹介しない理由は、この本はそもそも働き盛りである40歳代から老後の準備をしなさいとの趣旨で書かれており、ここでは老後に関わる部分の要旨のみを取り上げておいた。
2.図書「定年後に夫婦仲良く暮らすコツ」
①清水義範著(1947年愛知県名古屋市生まれ、愛知教育大学国語科卒)
②KKベストセラーズ、800円
③1日の夫婦の会話を30分以上に増やす、たまには小旅行をする、暇ができた夫も家事に参加せよ…等々、妻とふたり暮らし歴37年のベテランである著者が、定年を迎えた男性向けに、笑えて役立つ夫婦ふたり生活のコツを指南している。
④老夫婦が二人だけで暮らすのは厄介なことかもしれないとして、医学博士の黒川順夫氏は「主人在宅ストレス症候群」という言葉でその危険度を語っている。また、これらは老後のふたりだけ夫婦にみられるものではなく、20代、30代でも夫が原因で妻がなる病気に「夫源病」なるものがあると指摘されている。その特徴として:
(夫側の特徴)仕事が生きがいである。休みの日は家でゴロゴロしている。妻は夫に従うべきとの古い価値観を持っている。妻が外出すると不機嫌になり、しつこく詮索する。家事ができない。
(妻側の特徴)夫に対して強くものが言えない。親身になって相談できる人がいない。責任感が強い。ストレス発散になるような趣味がない。夫といると窮屈に感じる。総じて夫婦間に会話がない。
著者は夫婦二人だけの日々の生活で次のような時間を持つことを提案している。(カッコ内は私からの一般的な疑問・独り言)
「二人で酒を飲む時間や、コーヒータイムを持つ」(どっちがサーブしたり、片づけたりするのか? そんなことでお互い話す共通の話題はあるのか?)
「一日の会話を30分以上に増やす」(そもそも話すこともないのに、何を話すか考えるだけでめんどうくさい?)
「挨拶言葉をかけあう」(ただそれだけの儀礼的挨拶で終わってしまう?)
「同じ映画やドラマを見て感想を言い合う」(見る趣味が違うし、見たとしても感想で対立してしまう?)
「夫婦でぶらぶら散歩」(夫が早足で、妻が置いてきぼりになる? 犬とは歩調を合わせ一緒に散歩できるのに? 夫は犬以下か?)
「二人で買い物をする」(妻は、ああだ、こうだと物の選びに時間がかかり、夫はイライラする?)
「二人でレストランやバーに行く」(食べ物の趣味が異なったり、夫の食べ方が気に入らないと小言を言われる? バーは前を向いて座るので、ますます、お互いに向かい合って、話し合うことができない?)
「たまには小旅行をする」(誰が企画するのか、選んだ場所が面白くないと言われる? 事前調査が悪いと言われる?)
「初めは皿洗いから」(洗い方が気に入らないと、また妻に洗い直される?)
「たまには夫がシェフになる」(味が濃いの、薄いのと言われる?)
「家事はできるだけ手を出す」(やり方が違う・悪いと言われる、結局、余計なことはするなと言われる?)等々が書かれている。
筆者はおわりに「妻は機嫌が良いが一番平和」と結論付けている。(筆者のこの結論には同感するが、上記の筆者からいろいろな提案を夫が一つ一つ全部こなしたとして、それで、夫婦間問題が全部解決するとは考え難い。結論としては、筆者の言うとおり、夫が若き日を思い出し、妻の顔色を見ながら、労を厭わず、妻を喜ばす方法を死ぬまで考え続けることではなかろうかと気が付いた? 問題は気づいたとして、それを実行し続けることができるか? どちらが先に逝くか判らないが、いずれどちらかが一人になるわけで、夫にとっては今こそ独り立ちする予行練習と考え、頑張ってみよう。)
3.図書「男と女の怒らない技術」
①島津良智著(教育コンサルタント、リーダースアカデミー学長等)
②フォレスト出版発行。1300円。
③考えていることを口に出す男・感じていることを口に出す女、結果を大切にする男・プロセスを大切にする女…。男女のコミュニケーションの違いを具体的に解説し、感情をコントロールして周囲も自分も幸せになる技術を伝授している。
④全国既婚男女748人に「生まれ変わっても現在の配偶者と結婚したいか」との問いに、「はい」は46%で半数に届かなかった。この数字を大きく下げたのが50~60代の女性で、それぞれ32%と33%であった。これまで家庭を顧みない夫との生活に不満を持ちながらも、「給料を稼いでくれるから」と我慢してきた妻が、定年をきっかけに「もう面倒見ない」と宣言して、離婚されてしまうこともある。
妻のイライラの原因:
「家事・育児に頑張っている妻にもっと感謝してほしい」
「偉そうなことを言うくせに、家のことは何もやらない」
「上から目線でむかつく」
「かってに自分の趣味の高額のものを購入する」
「毎晩、付き合いとかいて、いったいどこで遊んでいるのか」等。
結婚の際、旦那様は理想の奥様像、理想の家族像を描いている。奥様も同様、理想の夫像や理想の家族像を描いているはず。しかし、結婚後に、理想像とは違うパートーなーに対し、「なんで、こういう風にできないのか?」「なんで、こうしてくれないのか」とか、お互いの思いを押しつけ合ってはいけない。
妻はこうあるべき、夫はこうあるべきといった自分の中の理想像を相手に押し付けてはいけない。
イライラは相手に与えられたものではなく、自分で選んでイライラしている。「責任」は英語で、responsibilityと書く、これはresponse(反応)とability(能力)からなる。つまり反応+能力=責任となる。これは人が自らの能力のなかで反応したことが責任ということ。イライラすることを他人のせいにしてはならない。
幸せとは、他人から幸福に見えることではなく、自分が幸せだと感じる状態のこと。あなたが幸せかどうかは、他人が決めるのではなく、自分で決めること、つまりあなたの許可なくして、だれもあなたを怒らすことはできない。
伝えるコミュニケーションではなく、伝えるコミュニケーションが大切。「部下を動かそうと思うなんて、ちゃんちゃらおかしい。上司は部下が自ら動こうとする環境をつくることが大切」これはそのまま夫婦にも言えるのではなかろうか。 以上