
最近読んだ本(その2)「おひとりさまの死後事務委任」岡島利夫
毎月平均15~20冊くらいの本を読んでいるが、久しぶりに最近読んだ本から表記の図書を紹介しておく。一応、自己啓発クラブの副題が「高齢化社会と自己啓発」となっているので、右に沿った選択の一つと考える。概ね右図書に記載されている内容に即して紹介するが、書面の制約から個別の文言の解説は省略するので、個別文言の意味や詳細については各自で調べていただきたい。
筆者:司法書士島田雄左、行政書士吉村信一の共著
出版社:税務経理協会、平成30年7月1日初版発行、1600円+税
1.おひとりさまは増えている
平成27年の国勢調査によると、年々65歳以上の人口は増え続けており、世帯別にみても、65歳以上人口のうち、単独所帯は592万人で6人に1人が一人暮らし。この傾向は、夫婦のみ世帯でも同様で、平成12年の397万所帯から642万所帯へと急増している。
ひとり者で遺産の受け取り手がない場合、その遺産は国庫に入るが、年間約400億円に上っている。右とは別に金融機関に毎年放置されている「休眠預金」は概ねその倍の800億円と言われている。
2.認知症は5人に1人
厚労省が2015年に作成した「認知症施策推進総合戦略」によると、2025年には認知症患者が700万人を超え、これは65歳以上の高齢者の5人に1人になると予測されている。
3.介護施設にはおひとりさまは入所できないのか?
病院や高齢者施設の約9割は、身元保証人がいない場合、入所は困難である旨回答している。これは身元引受・身元保証制度を活用することでクリアできる。
4.おひとりさまの終活は5つの制度を活用する
①成年後見制度、②身元引受・身元保証、③遺言、④信託、⑤死後事務委任
5.遺言は大きく分けて2種類
①公正証書遺言、②自筆証書遺言
2020年を目途に、法改正が進められている。これまで自筆証書遺言は、全文本人による自筆、署名・捺印が求められていたが、不動産の地番や面積、預貯金の口座番号、財産を特定する記載事項はパソコンなどで作成した財産目録を添付し、その文書に遺言者が署名・捺印すれば有効になる。
6.遺族がいない場合、役所は遺品整理をしてくれない
遺族がいない場合、自治体がしてくれるのは、火葬と合同墓への埋葬だけで、遺品整理等はしてくれない。これは路上で野垂れ死にした身元不明人の処分と同様の対応。
7.尊厳死宣言書の活用
8.行政機関等への主な手続き
①国民健康保険証・後期高齢者医療保険証・介護保険証の返却
②個人番号(マイナンバー)カード、個人番号通じカード、住民基本台帳カード、印鑑登録証の返却(死亡届と同時に失効)
③運転免許証、パスポートの返却(期限が来れば自動失効)
④年金事務所への通報
⑤固定資産税、住民税、自動車税、納税管理人の届け
⑥公共料金等の解約
電気、ガス、水道、固定電話、携帯電話、インターネット・サービス、新聞等の定期購読契約、クレジット・カード等、フェイス・ブック等SNSアカウントの閉鎖、
9.介護施設選び
(1)自立状態の高齢者を対象にした施設
①サービス付き高齢者向け住宅、②健康型有料老人ホーム、③高齢者専用賃貸住宅、④高齢者向け優良賃貸住宅、⑤シニア向け分譲マンション、⑥軽費老人ホーム
(2)要介護状態の高齢者を対象にした施設
①介護付き有料老人ホーム、②住宅型有料老人ホーム、③グループ・ホーム、④特別養護老人ホーム、⑤介護老人保健施設、⑥介護療養型医療施設
以上