
最近読んだ本:クラブ活動(高齢化社会)との係わり岡島利夫
1.高齢者の役割の一つ
高齢者問題に関わる図書は、このクラブ活動を始める前から、自己のこととして関心を持って読み進めていたが、下記2.末尾(24)に記載した山崎武也著の「一流の老人」の中で、筆者は高齢者の役割の一つとして、「老人はあの戦争の悲惨さを語り継いでいかなくてはならない」と力説していることを知り、私としてもこのクラブ活動の意義を再確認した次第である。
2.高齢者に関わる既読図書の紹介
介護を含む高齢化社会、高齢者に関する図書で、本年年頭から夏休み前までに読み込んだ本の一部を次の通りリスト・アップして紹介しておく。高齢化社会につき一緒に考える際の参考としていただければ幸いである。これらの図書は概ね過去1年以内に発刊されたもので、内容もそれなりに現状を把握したものとなっている。記載の順序は①書名、②著者(経歴を含む)、③発行社
④内容概要、⑤個人的に気になった記述の抜粋やコメントを記した。
(1)
①図書「超高齢社会だから急成長する日本経済」
②鈴木将之著(1980年千葉県生まれ、慶應義塾大学商学部卒、同大学院商学研究科修士課程、博士課程修了、第一生命経済研究所、エコノミスト)
③講談社
④旅行、グルメ、住宅…。新高齢者は1000兆円の金融資産を遣って逝く! 超高齢社会だからこそ経済が成長する背景を、シニアエコノミストである著者が解説。
④高齢者マーケットには潜在的パワーがある。2030年には三人に一人が高齢者、3700万人となる。高齢者の多様性、高齢者の消費パワー、高齢化に伴う技術進歩、AI、IOT、ロボット技術の進歩。青森市や富山市によるコンパクトシティの取り組み、公共機関、商業施設、病院、住宅を結ぶ公共交通機関の整備。
(2)
①図書「高齢者差別この愚かな社会」
②和田秀樹著(1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、精神科医)
③詩想社
④財政のひっ迫から、高齢ドライバーの事故まで、さまざまな社会問題の責任を負わされる日本の高齢者。認知症や寝たきりに対する偏見が蔓延し、医療現場では命さえ軽視されつつある高齢者受難時代の到来に警報を鳴らしている。
⑤橋田壽賀子氏の「頭がボケた状態でまで生きていようとは思わない」発言は、「ボケた人間は生きている意味がない」と同じ意味。同じ年齢位の老人がボケ老人を見て「あんな風になったら死んだ方がましだ」と言うのと同じ。障害者を見て「あんな障害者になったら・・」発言同様、ハラスメント。日本の個人金融資産は2016年末で1800兆円、そのうちの7割が60歳以上の高齢者が保有している。相続税を100%とすべし、そうすれば遺産がすべて税金に撮られてしまうと思えば、どんどん使い切っていく。老人の医療費は年間12兆円、日本のGDPや約500兆円ですから、その僅か2%に過ぎない。シェイクスピアの「リア王」には3人の娘がいる。末娘は王の機嫌をとらず、最後に殺される悲劇、お年寄りには機嫌をとることが必要。長野県の高齢者の就労率は日本一、これが健康高齢者日本一になっている。反対に最低の県は沖縄。年金だけで生活できなければ、生活保護との差額は補てんされるし、医療費等も免除される。日本もイギリスのように遺言絶対制にすべき、そうすれば面倒をみなかった娘息子に遺産を渡さないで済む。高齢者はもっと一人一票の効用を重視すべし。
(3)
①図書「エイジノミクスで日本は甦る(高齢社会の成長戦略)」
②吉川洋(1951年生まれ、立正大学教授、東京大学名誉教授、イエール大学経済学博士)八田達夫(1943年生まれ、経済同友会政策分析センター所長、大阪大学名誉教授、ジョンズ・ホプキンズ大学経済学博士)
③NHK出版新書
④高齢化こそ、成長のチャンス! 「高齢者向けイノベーションの経済学=エイジノミクス」を提唱し、創薬、ロボティクスから自動運転、混合介護、雇用改革まで、最先端の実例を豊富に収集・分析して、日本経済成長の途を説いている。
⑤日本一介護度を下げた和光市のことが紹介されている。
(4)①図書「高齢者ホーム2018(ホーム選びの基本がわかる、不安がなくなる)」②及び③週刊朝日MOOK
④月額費用や入居時の「お金」を独自調査! 全国有料老人ホームリスト4020施設を掲載し、いいホームの絶対条件、犬や猫と一緒に入れる高齢者ホームなどを紹介。
⑤プロに教わる安らぎの選び方等が記述されている。
(5)
①図書「年金生活者・定年退職者のための確定申告(平成30年3月締切分)」
②及び③技術評論社
④年金生活世代の確定申告の手続きをわかりやすく解説
⑤パートやアルバイトの収入がある、医療費が10万円を越えた、退職金や満期保険金を受け取ったなど、具体的な事例を多数収録し、復興特別所得税についても説明している。
(6)
①図書「終活読本 ソナエ 2018年新春号」
②及び③産経新聞
④及び⑤最後はひとりを当然と考える国々:日本では1980年までは高齢者の三世代同居は半数以上を占めていたが、2015年では僅か1割。イギリスでは「スープの冷めない距離」、オーストリアでは「距離をおいた親密さ」と表現。欧米では高齢福祉課や墓地政策はない、家族は介護要員ではない。住み慣れた地域内に高齢施設が配置され、健康状態に合わせて住み替えできるようになっている。訪問看護も整備されている。改葬の手続き:移転先の墓地管理者から「墓地使用許可書(又は受入証明書)」の発行を受ける。現在の墓地管理者から「埋蔵証明(改葬許可申請書と一体の場合が多い)」の発行を受ける。現在の墓地がある市町村に「改葬許可申請書」を提出、その際の添付資料として「埋蔵証明書」と先に取得済みの移転先の墓地管理者から入手の「墓地使用許可証(受入証明書)」を付ける。そして「改葬許可証」の発行を受ける。高齢者=幸齢者。レモングラスの香りが認知症を改善。
(7)
①図書「妻と夫の定年熟VI」
②西田小夜子著(1941年東京都生まれ、武蔵野美術大学短大部美術科卒、作家)
③中日新聞社
④定年後の人生は長〜いですから、悩んで暮らすより2人で「しゃべり」ましょう! 笑って泣ける、熟年男女の実話を基にしたリアルなショートショート97編。『中日新聞』『東京新聞』連載を単行本化。
⑤「ご飯よと呼ばれていけば猫が先」「恋女房あっという間に肥え女房」
(8)
①図書「高齢者と家族のためのQ&A(法的トラブルから医療・介護支援まで)」②延命法律事務所編
③法学書院
④一人暮らしの母が訪問販売の被害にあった。夫婦で遺言を書きたい…。高齢者を取り巻く介護や医療の問題から、権利擁護や法的な問題まで取り上げ、Q&A形式で解説、民法・成年後見円滑化法等の法改正に対応。
⑤「地域包括ケアシステム」:国が主導する公助・共助を中心とする支援から、高齢者が住む地域が主導する自助・互助による支援へと変えるシステム。社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」:このじぎょうの対象者は、認知症高齢者、知的障害者、精神障碍者等。判断能力が不十分でも契約を結ぶことができる人が対象。判断能力がなく契約を結ぶことができない人は、成年後見人制度を利用。ホームロイヤー:概ね月額5000円から1万円。いわゆるかかり付け弁護士。生活困窮者自立支援制度:平成27年度から、生活保護を受ける前の段階の人を自立支援。後見制度支援信託:2012年度から、法定後見制度において、本人の財産のうち、日常生活に必要な部分だけを本人の手元に残して後見人に管理させ、それ以外の通常使用しない財産部分については信託銀行等に信託金として預けさせた上で、同信託金の運用等については裁判所が発行する「指示書」を必要として、後見人の権利濫用を防ぐもの。インフォームドコンセント:医師が情報提供し、患者が治療に合意したり、拒否すること。リビング・ウィル:尊厳死の意思等を書面で表示して置くこと。死後の手続き:死亡届(7日以内)、死亡診断書・死体検案書、埋葬許可書・火葬許可書、国民年金(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)、健康保険・介護保険、運転免許証、世帯主の変更(14日以内)、復氏・姻族関係終了届、生命保険金の請求。
(9)
①図書「定年夫はなぜこんなにじゃまなのか?(大量定年時代の夫妻学)」
②田小夜子著(1941年東京都生まれ、武蔵野美術大学短期大学美術科卒、ライター)
③ニーマガジンズ
④どうやったら、夫の定年後も良好な関係を保ち、作り直していけるのか。夫が家庭に戻ってくることで、初めて直面する問題を、実話に基づいた小説とともに検証。「みのむしおじさん」にさせない、ならない方法を提案。
⑤多くの定年夫妻を見てきた結果、お互いの気持ちを話し合わないまま、何十年も過ごしてきたことが「じゃま」の原因である。
(10)
①図書「多様化する日本人の働き方(非正規・女性・高齢者の活躍の場を探る)」
②阿部正浩編集(1966年生まれ、1990年慶應義塾大学商学部卒、同大学院商学研究科博士課程、中央大学経済学部教授等)
③慶應義塾大学出版会
④ダイバーシティ経営は日本の労働市場で実践されているか、また実践するためには何を改善するべきなのか。「非正規雇用・貧困」「女性の就業・出産・育児」「定年・引退前後の高齢者の就業・健康」を切り口に多角的に分析。
(11)
①図書「ちょっと気になる医療と介護」
②権丈善一著(1962年福岡県生まれ、慶應義塾大学商学部卒、同大学院博士課程修了、慶應義塾大学商学部助教授)
③勁草書房
④2025年以降、医療介護ニーズの絶対量は高原状態に。日本社会はそれまでに何をすべきか。医療介護の一体改革を訴え、改革の具体的な道筋を示す。新章「政治経済学からみた終末期医療」などを加筆した増補版。
⑤子供しかるな、いつか来た道。老人笑うな、いつか行く道。
(12)
①図書「介護現場のクレーム・トラブル対応マニュアル」
②高頭晃紀著(1961年生まれ、介護福祉経営士)
③ぱる出版
④すべてのトラブルは、不適切なケア、接遇が原因。介護現場の認知症ケアの基本や、ヒヤリハットの予防と対策、利用者の急変を防ぐケアのポイントなどを解説し、利用者や家族からのクレームの予防と対応法などを紹介。
⑤トラブルを未然に防ぐことを真剣に取り組めば仕事は必ず楽になる。現場で一番困っていることは「介護拒否」つまり、利用者が非協力的になること。利用者にとり介護者はメイドや召使ではなく、あくまでできないところをサポートする立場。認知症ケアの基本の一は水分ケア(一日1500cc)。認知症の利用者は困った人ではなく、困っている人との認識が必要。不適切なケア以外はすべて不適切なケア。ではなにが適切なケアなのか?適切なケアとはそのケアの根拠があること。
(13)
①図書「地域包括ケア 看取り方と看取られ方(第三次生活困難期における支援策)」
②小松秀樹監修
③国書刊行会
④現在の社会保障を続けている限り、悲惨な敗戦が待っている。守るべきものは何か、捨てるべきものは何か。現場の論客たちが、地域包括ケアの理論と背景、介護する側の負担、貧困と健康、死生観とコミュニティなどについて紹介。
⑤「健康」の概念が「病気と認めらないこと」から「心身の状態に応じて生活の質が最大限に確保された状態」に変わる。介護保険制度の家事援助は最低限の衣食住をカバーしているだけで、例えばエアコンの掃除や暖房器具の出し入れ、灯油の買いだしなどイレギュラーなことはカバーしていない。例えば天気の良い日に布団を干したくても、ヘルパーさんの滞在時間1時間では、取り込む時間は入らない。事業所の判断で、午前45分、午後15分に分けてやれたらと思う。年金収入だけの人は成年後見人に回す費用を捻出できない、年金をもらっているから収入有と見なされ、生活保護の対象とはならない。
(14)
①図書「もっと知りたい定年の楽しみ方」
②遠山絋司著(1942年宮崎県生まれ、大阪大学大学院修了理学博士、横浜国立大学等教授)
③学文社
④生活を安定させるための基盤である「健康」と「経済」。豊かで生きがいのある定年生活を送るための基盤になる「人間関係」と「趣味」。これら4項目に「時間」を加え、定年を楽しむための情報と知恵を紹介。
⑤定年後の生活を安定させるための基礎は健康と経済、豊かで生きがいのある定年生活を送るための基礎は人間関係と趣味が重要。
(15)
①図書「大切な家族の入院・介護でやるべきことのすべて」
②藤林慶子監修(東洋大学教授)、
③新星出版社
④親が入院したとき、親に介護が必要になったとき、どうすればいいのか。入院・退院の手続きや介護保険の申請、かかるお金のことなどを解説。
(16)
①図書「考える障害者」
②ホークング青山著(1973年東京都生まれ、先天性多発性関節拘縮症のため両手両足が使えない。1994年お笑い芸人としてデビュー)
③新潮社
④「24時間テレビ」「バリバラ」「パラリンピック」から「やまゆり園事件」まで。身体障害者芸人として20余年活動してきた著者が、障害者に対する世間の偽善と建前を嗤い、矛盾と盲点を衝く。本音度100%の障害者論。
⑤身障者への両極端な捉え方:聖人君子、厄介者。嘗ての差別用語:カタワ、メクラ、ツンボ。ホリエモンこと堀江貴文氏は「障害者にも雇用を与え、きちんと働かせた方が良い」と発言に異論、身障者の働く環境を整えるには、多くの整備やそれを支える介助者が必要であることを知らないのでは。パラリンピックに関心を持つ理由「身体にハンデを抱える人の頑張る姿を見て感動したい」に異論、頑張れない身障者は感動させられない。障害者を勝手に感動の対象にしないでほしい、パラリンピックは元々、傷病兵のリハビリから始まったもの。やまゆり園での障害者殺害事件:犯人は事件直前に衆議院議長あてに手紙を書いた。「私は障害者総勢470人を抹殺することができます。これは常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、介護施設での保護者の疲れ切った表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国のために本日行動に移します」。介護者は天使ではない。同じ人間として扱って欲しい。ナンセンスな質問、健常者から「町中で障害者を見かけたらどうのように接したら良いのでしょうか?」、この質問はその人と障害者の間にすごく距離感を感じる。障害者は社会の一員になるため、健常者もだが、障害者こそ心を開くべき。
(17)
①図書「つらい介護にさようなら(メンタルトレーニングで心らくらく)」
②高橋浩一著(医学博士、日本プロボクシング・コミッショナー、1965年仙台生まれ、東京慈恵会医科大学卒、山王病院脳神経外科勤務)
③出版文化社
④自分の気持ちをコントロールすることで、心に余裕を持てたら、介護の仕方も変わってくる。いつでも、どこでも、誰にでもできるメンタルトレーニングを紹介。介護を受ける家族と良い関係を築く方法も説明。
⑤マイケル・ジョーダン「失敗したからと言って成功するとは限らない。しかし、成功した人は数えきれないほど失敗している」。褒める、他人と比べない、ポジティブなアドバイス」。介護側にできることは、好きなこと、趣味、昔の武勇伝、青春の思い出等に目を向けさせ、会話することが大切。メンタルトレーニングの実践例:毎日、今日も元気だと独り言を言う。筋肉を緩める体操で余計な力を抜いてリラックス。体温よし、浴室の温度よしと指を指して確認をルーティーン化する。
(18)
①図書「50歳からの死の覚悟(残り30年を悔いなく生きるために)」
③井上睴堂著(1957年横浜市生まれ、慶応大学卒、ゼンマスター、臨済宗老師)
③ぱる出版
④「死とは何か」ということについて、古代日本人の死生観や仏教の来世観などを示しながら、わかりやすく解説。エジソンや福沢諭吉、ソクラテス、勝海舟といった古今東西の偉人たちの「死にざま」も紹介。
⑤勝海舟「コレデオシマイ」。カフカ「殺してくれ、でなければあなたは人殺しだ」
(19)
①図書「親が認知症になる前に知っておきたいお金の話」
②横手彰太著(1972年生まれ、中央大学卒、スペイン留学、大手企業に就職、北海道ニセコで飲食店経営、現在は日本財託代表)
③ダイヤモンド社
④認知症問題に対する具体的な解決手段として家族信託という新しい資産防衛法を提案。その基本的な仕組みを解説するとともに、どのように使うのかを最新の7実例で紹介。親への切り出し方も伝えている。
⑤親が認知症になり、親の財産が凍結されてしまうと、親名義の家を売りたくても売れない。預金を引き出したくても引き出せない。家族信託は正戦の認知症対策は勿論のこと、相続発生時に遺言の代わりになったり、不動産が売却できなくなるリスクを回避できる。配偶者が相続により全財産を取得した場合、その財産の評価額が1億6千万円以下であれば、期限内に申告書を提出することで、相続税はかからない。しかし、認知症の母親がいる場合、遺産分割協議は母親に後見人を立てる必要がある。しかし、利害関係のある子供は母親の後見人になることはできない。相続税制では、相続人一人につき600万円の非課税枠があり、これに基礎控除3000万円を加えたものが全体の控除額となる。後見人の権力としての代理権を使うと、銀行口座にある預金を引き落とすことができる、定期預金も解約可能。任意後見:施設入所手続き、日常生活のフォロー、介護保険手続き、住居に関する手続き等の身上監護。家族信託:自宅の売却、収益不動産の管理、現金の活用等の財産管理。信託できる財産:現金、不動産、非上場株(上場株式や投資信託はまだ非対象)、貸付金、ペット等主に現金と不動産が中心。財産を預けると所有権が変わる。不動産の場合は登記変更原因として信託と記載される。家族信託は遺言に優先する。任意後見人で出来る事:預貯金の管理、保険の契約、年金の受領、財産管理、遺産分割、証書の保管、住居に関する契約、介護サービス、要介護認定申請、福祉関連施設、医療機関への入所契約等。信託口座名は「委託者○○、受託者○○信託口座」となる。簡単な自筆証書遺言:「遺言書、私のすべての財産は、長男、鈴木太郎に相続させる 平成○年○月○日 鈴木一郎(印)」。現金を信託財産にする場合によくある間違い、例えば3000万円の現金を信託財産にする場合、3000万円が預金されている親の口座番号と信託財産の金額を契約書に記載してしまう失敗。財産を預けた人の口座から預かった人の口座に移しておく必要がある。さらに契約書にいくらの財産を信託財産にするかを明記して置く必要がある。家族信託は契約行為なのでお互いの判断能力がないと成立しない。「人は対策ができるときに何もせず、問題が起きたときは何もできない」。
(20)
①図書「誰も書かなかった老人ホーム」
②小嶋勝利著(1965年神奈川県生まれ、民間介護施設紹介センター「みんかい」経営)
③祥伝社
④サービスは結局、金次第? 隣人トラブルに巻き込まれたら? 快適なホームはどう探す? 介護の現場を経験し、相談者のニーズに合った施設を提案する著者が、老人ホームのウラ話を語り、さまざまな疑問に答えている。
⑤介護保険制度は相互扶助。サービス付き高齢者向け住宅には生活相談員を配置しなくてはならない。有料老人ホーム事業者が受け取る費用訴額は、宿泊施設の利用料と食費(利用者全額負担)、これに介護保険報酬(利用者により1割、2割負担)の2階建て。入院すると老人ホームの利用料金と病院の入院費用の両方の支払いが生じる。介護職員にコミュニケーション能力を求めるのは酷。コニュニケーション能力の高い人とは、一般的に常に明るく、誰とでも仲良くなれる、臨機応変に対応できる、更に自己表現が上手く商談などが得意、このような人がわざわざ介護職につくとは考えられない。家族にとって入居者は唯一の人間だが、介護職員にとっては多くの入居者の中の一人に過ぎない。老人ホームの収益構造:月額利用料、介護保険報酬、自費サービス費用(オプション)。小規模多機能型居宅サービス:訪問介護、通所介護、ショ―トスティの3つの介護サービスを一つの事務所で提供するサービス。
(21)
①図書「ケアマネなら知っておきたい社会知識ナビ」
②城嶋明彦他著(早稲田大学政経学部卒)
③秀和システム
④利用者さんの「困った」を素早く解決! 介護の周辺領域といえる医療・福祉制度についてはもちろん、年金や遺言、住宅の知識も解説。医師など各専門家からのアドバイスも掲載。2018年度介護保険制度改正に完全対応。
⑤2018年介護保険制度改正のポイント:介護保険制度は2年ごと、医療保険制度は3年ごとに改正、両制度は6年に一度一斉に同時改正される。2018年はそれに当たり、医療と介護の一体的改革が行われる。2025年は団塊世代がすべて75歳以上になるいわゆる「2025年問題」の年と言われている。これが厄介なのは、少子化と高齢化の問題が同時進行形で訪れる。増え続ける介護費用、認知症、老老介護、介護人材の不足等だ多重問題化。「介護医療院」の創設、「利用者の3割負担」の導入。「地域包括ケアシステム」の整備、地域リハビリ専門職との連携、高齢者や障害者を一つの事務所が提供する「共生型サービス」の創設。高齢者の自立支援・重度化防止策の推進。介護職員の処遇改善、労働条件の効率アップ(介護ロボットの活用)を経て、介護離職ゼロを目指す。障害者は「身体障害者329万人」「知的障害者74万人」「精神障碍者392万人」の3種類(計約800万人)に大別され、その7割が65歳以上。その約7割が在宅。サービス付き高齢者住宅では1年間に約3362件の事故が発生している。見守りが行き届かないことに原因がある。高齢者住宅情報の入手先:財団法人高齢者住宅財団、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)、社団法人全国有料老人ホーム協会。
(22)
①図書「都市の正義が地方を壊す(地方創生の隘路を抜けて)」
②下祐介著(1969年生まれ、九州大学大学院文学研究科博士課程中退、首都圏大学東京都市社会学部准教授)
③PHP新書
④田舎の仕事は都会の仕事と比べて威信が低いという価値観は、いかにして醸成されてきたのか。さらに「選択と集中」「競争と淘汰」など、やむを得ないと見なされる「都市の正義」がはらむ罠を、地域社会学者が指摘。
⑤地方を救うためまず最初に行うべきことは地方に仕事をつくること。2015年2月25日政府の「日本版CCRC構想有識者会議」(座長・増田寛也)が始まる。CCRCとは継続的なケア付きリタイアメント・コミュニティのことだが、要すれば東京圏の高齢者を早い時期に地方に移し、東京圏で枯渇する医療・介護資源を確保する意味合いがある。その後閣議決定で「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」に「日本版CCRC構想の推進」が入り、半年後の同年12月11日には「生涯活躍のまち構想(最終報告)」がまとめられた。しかし、このようにお上から降ってきた構想はその後、あまり注目をあつめることなく、地方移住の推進の一項目として取り扱われる程度になっている。
(23)
①図書「定年後の知的生産術」
②谷岡一郎著(1956年大阪生まれ、80年慶應義塾大学法学部卒、南カリフォルニア大学行政管理学部修士、同社会学部博士課程修了Ph.D、大阪商業大学教授、同学長、谷岡学園理事長、専門は犯罪学、ギャンブル社会学)
③筑摩書房
④定年退職後こそ、クリエイティブに、好きな研究、夢や目標に向かって打ち込むチャンス。役に立つ情報の取捨選択法から資料整理術、著書の刊行まで、「知」の発信者になるノウハウを紹介。
⑤教養とは、「人間が幸せな人生を送るために身につける、知識、知恵、及び立ち振る舞い」。「シュンギュラレティ・ポイント」2037年にはコンピューターから引き出せる情報が、歴史上存在したすべての本や著作、記録の量を超えること。今ではコンピューターが自己意識、つまり「私」という概念を持つポイントとして使われることもある。また「私」という意識を持つと、それは同時に「殺されたくない」という保身の本能を生み出す危惧が持たれている。東洋と引用の違い、オマージュとは原作を参考にしつつ、それを作り替えることで別の意味を付加させようとする行為。たとえば西部劇「荒野の七人」は黒沢明の「七人の侍」のオマージュ。論文の基本的な書式:要約(本文の前に400字程度)。問題提起(序文とかはじめにとかで問題の所在をはっきりさせる)。先行研究・文献。方法論・データ(たとえばAだからBというトピックに従った因果律を主張するプロセスにおいて、その論拠をどう示すつもりなのか、というストーリー性の問題と考えてよい)論文とは持論が正しいことを示すもの。分析・ディスカッション(今回示した先行研究と、データなどにより、論文の主張を展開すること、論文の核、内容としての論文の中心にあたる)。結論・おわりに。15分スピーチならパワーポイントのページは8枚以下にすべし。パワフルな団塊の世代が世の中を変える、堺屋太一が命名した「団塊の世代」は、日本では過去に例を見ない人口構造の中で育った。同世代が多い中で過酷な競争を経験し、独特の生活様式を切り開いてきた世代と考えて良い。初めてクラッシク以外の海外音楽を受け入れたり、初めてコンピューターと向き合い、キーボードに英字を打ち込むことに抵抗を感じなかったことなど、多くの新しい知見を導入した世代。何より明治以来、初めて能動的にこの世の中を変えようとするエネルギーが爆発した世代である。団塊の世代は過酷な競争を強いられてはいたが、少なくとも政治・経済体制は、反対運度はしばしばおこったが、安定した中での競争であった。つまりその生じたエネルギーは体制打破や対外戦争といった外部的なものではなく、生活様式や文化の変革といった内的なものに向かっていた。「昔はよかった」と懐かしむ人はいるが、実際過去の世界へ行ってみると、困惑することが多いだろう。たとえばトイレット・ペーパーもシャワートイレもなく、3日に1回しか風呂に入れなかった時代が本当に懐かしいですか?
(24)
①図書「一流の老人」
②山崎武也著(1935年広島県生まれ、東京大学法学部卒、ビジネスコンサルタント)
③幻冬舎発行
④人生の成熟期を清々しく生きるには。「ブランド品の広告塔をやめる」「倹約はしても交際費はケチらない」「新しい体験を自分に課す」など、多くの粋人から学んだ、老いるほどに尊敬される生き方を紹介。
⑤老人の悲劇も喜劇も、自分が歳をとっているという事実をはっきりと認めようとしないところから始まっている。百人一首に「しのぶれど色に出でにけりわが恋は、ものや思ふと人の問うまで」のように、人に知られるようになってもいけない。その寸前で止めるのだ。人知れず慕うくらいの風景がよい。相手の迷惑にならないようにする配慮。「片思い」に徹し、「ファン」の位置にあると思ったら適当かと思う。老人が過去のことを何回もくどくど言うのは「老いの繰り言」として嫌がられるのが通例。しかし、次の世代にきちんと語り続けていかなくてはならい老人の義務もある。その事実の際あるものが先の太平洋戦争であり、その中の一つの焦点は広島や長崎に対する原爆の投下である。損層の現実を身を以て体験していない人たちは、国民を守るという名分を大義として戦争への道を徐々に歩み始めても、抵抗感があまりないようだ。そのような時代に引き込もうとしている政治家たちを信用してはならないことを周知させるのも老人の役目である。 以上