
素敵な日本語を学ぶ科を受講して(前期を終えて)岡島利夫
1.この講座が目指すもの
表題につき、そもそも論から見直してみると、概ね次のような流れを読み取ることができる。
①いきがい大学の設立趣旨
それを大学の募集要項から探ってみると「社会の変化に対応する力を身に付けるとともに、社会に参加することで生きがいを高めていただき、卒業後は地域でご活躍いただくことを目的にしています」としている。
②いきがい大学専門課程が目指すもの
午前中は現代のシニアに役立つ一般教養を、午後は関心のある分野に分かれて学習します。単に専門分野を学ぶだけでなく、卒業後の地域活動に発展させていただくことを目的にしています。
③和光学園が目指すもの
和光学園では美しい日本語の話し方や歌い方などを学びます。また、専攻科目はもちろん学生の自主的活動と卒業後の地域活動につながる、自治会活動やクラブ活動を通じた仲間づくりにも積極的に取り組みます。
④素敵な日本語を学ぶ科で目指すもの
初日の講義冒頭で、元NHKエクゼクティブ・アナウンサーである風見雅章先生から、この講座において目指すものとして「最近はコミュニケーション能力の低下が指摘されています。この講座では改めて私たちが普段使っている“ことば”を見つめ直し、コミュニケーション能力を向上させる方策を共に勉強してまいりましょう」との説明がありました。
⑤目的
上記④のコミュニケーション能力を向上させる目的はどこに行きつくかと言えば、卒業後、その能力を活かし、地域活動に貢献してくださいということになるのだろうと思いました。
2.ボタンの掛け違い?
①私事であるが、私が和光学園の「素敵な日本語を学ぶ科」へ応募した理由は、上記1.③にあるとおり、和光学園の募集案内に「美しい日本語」なる言葉があったからで、全体像を見ないで応募したのであるから、今更、「ボタンの掛け違い」発言はないだろうと言われれば、反論のしようがない。
②上記の次第もあり、講義の初日、風見先生に「“美しい日本語”とは何ですか? 講座名にある“素敵な日本語”と同義語と捉えてよろしいですか?」と質問した。すると先生は「私は講座名として“素敵な日本語”なる言葉を提案したつもりはなく、講義としては“コミュニケーション能力の向上”を目指す内容となっている」 また、「“美しい日本語”の定義は難しいが、授業の中で“正しい日本語”や“いつまでも残しておきたい大和言葉”等についても触れていく所存であり、歴史的にめんめんとして今日まで伝えられてきている言葉や、今後、将来に向かって残していきたい言葉を“美しい日本語”を捉えて良いのではないかと思う」と答えられた。
③最大のボタンの掛け違いと私が考えるのは(繰り返し申し上げるが、これはあくまで私見である)、我々「素敵な日本語を学ぶ科」に在籍している学生の中で、果たして何人の方が、この講座を受講することにより、正しい日本語を学びつつ、コミュニケーション能力の向上を図り、卒業後、地域活動に活用していきたいと考えておられるか?
3.付録「美しい日本語ベスト10」
NHKで以前、各界の指導者的立場にある350人に対し、「美しい日本語」についてのアンケートをとったことがある。852の言葉の中から、以下の言葉が、ベスト10に選定された。
「ありがとう」
「さようなら」
「はい」
「すみません」
「おはようございます」
「さわやか」
「いらっしゃいませ」
「おやすみなさい」
「どうぞ」
「いいえ」
いかがでしょうか?
4.とりあえずの結論
前期しか終わっていないので“とりあえず”としておくが、上記のようなことを考えながら、悶々と前期を過ごした。それにしても上記3.の言葉が世間で認識されている「美しい日本語」であるとするならば、卒業後はこれらの言葉を念頭に置きながら社会貢献なり、地域活動をすれば受講目的は達成できたと考えるが如何。後期も私なりに楽しんで受講して参りたいと考えている。
以上